「独居認知症」の介護リスクを回避する方法
今、独居老人の認知症が社会でおおきな問題になっています。
内閣府が行った調査によると、1995年には一人で暮らす世帯が21,990,000でしたが、20年後(2015年)には62,430,000と約3倍になりました。
夫婦のみで暮らす世帯と、親・未婚の子どものみで暮らす世帯も含めると、今後は加速度的に増えていくと見られています。
認知症の高齢者が直面する強烈な現実
一人で暮らす認知症の高齢者は以下のような状況に陥りやすいです。
- 火の管理ができない
- 食の管理ができない
- 薬の管理ができない
- トイレの管理ができない
- お風呂の管理ができない
- お金の管理ができない
- 人間関係の構築ができない
そもそも、元気な高齢者でも一人で暮らすにはさまざまなトラブルに遭遇しやすいです。
認知症ならなおさら、想定しないトラブルに巻き込まれる可能性が大きいので、注意が必要になります。
火の管理ができない
認知機能が低下してしまうことにより、火をつけたことを忘れてしまうことが多々あります。
- 鍋を火にかけたままにしてしまう
- タバコの火を消し忘れる
- 仏壇のろうそくの火を消し忘れる
- ストーブの前に燃えやすいものを置いてしまう
これらを忘れてしまうと、大惨事になりときには命の危険につながることもあります。
食の管理ができない
以前は食べるものに気をつけ、健康的な食生活をしていた方も、認知症により状況が一変してしまうことがあります。
- 極度に偏った食事をする
- 悪くなったのに気づかずに食べてしまう
- 食べること、食べたこと自体を忘れてしまう
食は健康に直結するので、認知症だけではなくほかの病気が併発するリスクが出てきます。
薬の管理ができない
高齢になると何かと飲む薬が増えるものです。
日々の健康を守るために適切な服用は必要ですが、薬を飲むことを忘れたり、多く飲んでしまったりします。
誤った薬の服用は健康に悪影響を与えてしまいます。
トイレの管理ができない
排泄のコントロールができないと失禁・便失禁のリスクがあります。このリスクは体にも悪影響を与えますし、何より人間の尊厳が傷つけられます。
初期の認知症であればなおのこと、できてない自分を認識するのでショックを受けられる方が多いですが、重度の認知症であればそのことも認識しないので排泄物をそのままにしておくことになります。
お風呂の管理ができない
認知症でなくても、極度に疲れていたり、体の調子が悪かったりすればお風呂に入るのがおっくうになりますよね。
認知症になるとさらに「お風呂に入ること」自体を忘れてしまったり、「お風呂に入ったこと」を忘れてしまったりするといった事態になりがちです。
1日2日では問題ないですが、これが続くと衛生的に問題になってきます。
お金の管理ができない
認知症になると、支払い行為がスムーズにできなくなります。
通常買い物をして支払うときには、
- 今自分の手持ちがいくらなのかを確認する
- 支払えるようなら買う
といった、手順をたどりますが、認知症になると手持ちを確認せずに買いがちです。
このため思わぬ高額商品を購入してしまうこともあるので、周りのご家族は注意が必要です。
他方でお金を支払うという行為を忘れてしまうので、万引きに至ってしまうことも問題となっています。
人間関係の構築ができない
認知症になると、はじめから無かったものを「ある」と勘違いしてしまい、「誰かに盗られた」と相手を疑ってしまうことがあります。
他にも、物事の善悪の判断ができなくなり、暴言・暴力におよぶ高齢者も少なくありません。
またゴミの処理を忘れてしまうので、ゴミ屋敷状態になる高齢者も多く見受けられます。
「独居認知症」の介護リスクを回避する方法
火の管理対策は
- ガスからIHにする
- 電子タバコにする
- 仏壇のろうそくは高齢者用の短いものにする
- ストーブは反射式ではなく、ファンヒーターやオイル式にする
食の管理対策は
- 定期配達便
- デリバリー
- 買い物代行を利用する
そもそも「食べ物かわからない」「食べ方がわからない」という状況まで進んでいる方は施設に入ることをオススメいたします。
薬の管理は
- 一回に飲む薬をまとめる
- 服薬ケースを使う
- 見やすいところに「薬を飲む」と書いた紙を貼る
- 訪問介護やデイサービス時に飲むことにする
- ヘルパーさんに頼む
トイレの管理で、自分自身で排泄の管理ができなくなったら速やかに施設へ入ることを検討されたほうがいいと思います。
お風呂の管理は訪問入浴サービスがあるので、問題ないかと思います。
お金の管理はまず、クレジットカードの類は解約しすべて現金払いにする必要があります。通帳印鑑は親族、後見人に預けるほうがいいでしょう。
人間関係の構築について、難しいと思いますが、自分が関わる人に前もって伝えておくことをオススメします。前もって伝えておくことによってトラブルになりずらくなります。
見守りサービスを利用する
上記のように、個々の問題に細かく対応することが必要です。
しかし、仕事の関係などでこまめに認知症となった高齢者(祖父・祖母)のケアが難しいタイミングもあると思います。
そういうときは、思い切って見守りサービスを利用するのも1つの方法です。
現在は、ご家族のご事情にあわせて選べる見守りサービスが数多くありますので、ぜひ検討してみてください。